富山市内を中心に鉄道線沿いに路線網を敷く富山地鉄バス。市内路線では方面別のカラー幕を採用し、回送コマに独特の特徴があります。この記事では、富山地鉄バスの方向幕についてご紹介します。(記事の内容は、2025年6月現在のものです)執筆・写真:高木純一


※2025年6月発売《バスマガジンvol.129》『方向幕の世界』より

「回送」の表示スタイルが全国的にも珍しいタイプで、見ていて楽しいです。

富山地鉄バスの方向幕は市内路線で方面別カラー幕を採用しており、系統番号が10の位の数字によって区別されています。

例えば、10番台の富山駅から高岡駅方面へ向かう系統は黄色一色、30番台の41号線経由の笹津方面へ向かう系統は緑一色となっています。70番台の滑川方面のみ75番あたりで色が反転し、前半の番号は青文字、後半の番号が青一色になっています。
富山地鉄バスの方向幕で最も独特なのが「回送」表示です。字が青文字であるのは特に珍しくありませんが、何故か回送の文字の内部が白抜きになっている点が特徴的です。これは全国でもここだけの特徴であり、遠くから特に夜間は非常に見づらいのですが、今でも回送はこの表記で運用されているのが興味深い点です。

同社のバスは京都市営バスに次いで方向幕車の導入を継続しており、2011年度車あたりまで中古導入車も含めて方向幕車が存在しました。そのため、他社では見られない三菱ふそうMP37のノンステ車(初期のLKG-車)や西日本車体のPKG-RA車の方向幕車が存在します。

2025年現在でもLEDへの改造はほとんど行われていないため、今でも方向幕車を目にする機会が多くあります。現在はフルカラーLEDを搭載した車両も増えてきましたが、3色LED車と並んで停車している光景も見られます。


富山地鉄バスの方向幕はレシップ製のバーコード式表示機を採用していますが、路線変更などがあった場合は幕を切り継ぐため、長く使われるコマが多く、汚れが目立つものもあります。

特に側面幕は補修が多数なされていることが多く、ヨレヨレで表示されていることも珍しくありません。逆に、ここまで大事に使っている事業者が珍しいと言えるでしょう。
側面幕はP-車まで並サイズでしたが、並サイズの横幅のままワイド幕化されているため、表示面はやや正方形に近い形になっています。後面幕も横長タイプですが、長さがやや短い(1133mm)ため、微妙に標準幅に見えなくもないサイズなのが特徴です。社名コマはなく、「貸切」コマも回送と同じく内部が白抜きされています。

コマの内容は車両によって異なり、全く同じ内容の車両はほぼありません。同じ営業所の同じ時期に導入された車両であっても、幕の内容が全く同じということはないのが、富山地鉄バスらしい特徴と言えるでしょう。
[[LINK_1: 【画像ギャラリー】補修の跡が目立つ側面幕もいい味を出している!!